【使用米】新潟県柏崎産越淡麗 100%使用
【アルコール度数】14%(原酒)
【使用酵母】非公開
【日本酒度】非公開
【酸度】非公開
【おすすめの召し上がり方】冷酒~常温
【冷蔵の有無】冷暗所での保存
【開封後賞味期限】開封後はなるべく早めにお召し上がり下さい。
新潟県で日本酒「あべ」を醸す阿部酒造による全麹酒「ホボホボゼンコウジキモト」のご紹介です。
「完全に」ではないもののそれに近い状態を表す「ほぼ」をふたつ重ねることで強調された語句「ホボホボ」が付けられた「ゼンコウジ(=全麹)」。白米のほとんどすべてを麹として使用して仕込まれたお酒であることを表現しています。比率を100%として麹を使用すると酒税法上「日本酒」と名乗ることができないことと、阿部酒造の製造設備を踏まえ考慮した結果の最大限の麹歩合96%。残り4%のお米も酛として使用されているのみなんだそうです。その酛も、お酒の香味に複雑さを加えるため生酛造りを採用。麹からの濃密な旨みとスマートでありながらも存在感のある酸が調和した、芳醇でありながらも繊細さが感じられる飲み口の逸品です。
グラスに注がれた「ホボホボゼンコウジキモト」は、わずかにグレーを溶け込ませた淡いイエローの色調を呈し、生酛らしさとエキス分の豊かさを示唆。艷やかな液面は、鏡面のようにシルバーの光沢を纏い、その奥に適切にカットが施されたクリスタルのような虹色を伴った美しい輝きを携え、その健全さと酸の豊富さをありありと伝えます。
グラスから立ち昇るのはレモングラスのようなフレッシュなハーブ感とジャスミンのような甘やかなフローラル感。さらに、食パンの白い部分のようなふっくらとした酵母的香りや白胡椒を想わせるスパイス感も微かに漂います。香り立ちは穏やかながらも、グラスの中で時間が経過しても衰えることなく、その複雑なニュアンスを伝えてくるしっかりと詰まった印象の芳香です。
麹から引き出された濃密な旨みが繊細な甘さを相乗。口当たりに大きなボリュームを錯覚させます。その後、静かにその甘旨みの塊を解きほぐし、さらりと軽快な舌触りへ。じわじわと滲む酸味に包み込まれ、ビター感に引き締められながら、味わいは次第にフレッシュな印象へとシフト。口の中に広がるのは、ブラウンシュガーを想わせる香ばしさを伴った甘やかさと、レモンの蜂蜜漬けのような艷やかな甘さと爽やかさを調和させたフレーバー。しっとりとしていながらもドライな香味が溶け込んだ、複雑な味わいを楽しませてくれます。
飲み落とすと、口の中を満たしていた香味がふわりと宙に吸い込まれるようにかき消え、スペアミントのような優しい清涼感の後味を表現。消え残る苦みが密かに滲む後口に、花の蜜のような甘やかな余韻が繊細にたなびきます。
「全麹」と聞いて思い浮かぶ濃厚な甘いイメージをカバーしながらも、純良な麹からの濃密な旨みが仕立て上げたさらりとした甘やかな味わいを軽やかに、涼やかにお楽しみいただける、しっかり甘く感じるけれどベタつかない、さらり、ふわりとした甘やかな味わい。チャーミングな酸味のハイトーンな煌きと端正なビター感の閃きが、美しいほどに磨かれ、艶やかさを増しながら余韻へと向けた調和の取れた旋律感を展開。「全麹」ではなく「ゼンコウジ」という新しいカテゴリーが確立されたと言い得る、日本酒「あべ」によるほぼほぼ全麹の逸品です。この機会にぜひ、ご体験ください。