パティシエから転身し、ネゴシアンとしてのスタートを切ったのは1989年。ブルゴーニュの著名な生産者らに師事し、学んだ伝統的なワイン造りを基礎としつつ、独自の醸造技術を確立、実践。たゆまぬ努力と流行に左右されない一貫したその姿勢から多くの高品質なワインが生み出され、現在ではブルゴーニュを代表する地位を確立しています。
そのこだわりは、50年以上を基準としたヴィエイユ・ヴィーニュの使用、「マジック・カスク」と呼ばれる自作の樽による熟成、最小限のSO2使用、ノンフィルターなど、「ブルゴーニュの土やブドウは”テクニック”や”職人”を必要としていない。(ワインに生まれ変わるために)手を貸してくれる”人”を必要としているのだ」というワイン醸造哲学の基、近代的な技術に頼らない自然で伝統的な醸造法を採用しています。
【ヴィンテージ】 | 2015 | 【容量】 | 750ml |
【原産国】 | フランス | 【地方】 | ブルゴーニュ |
【地区】 | - | 【村】 | - |
【品質分類・原産地呼称】 | ブルゴーニュ A.O.C. | ||
【格付け】 | - | ||
【使用ブドウ品種】 | ガメイ 70%、ピノ・ノワール 30% | ||
【醸造・熟成】 | 発酵:ステンレスタンク 熟成:フレンチオーク樽 12ヶ月 | ||
【アルコール度数】 | 13% | 【色】 | 赤 |
【種類】 | 赤ワイン | 【味わい】 | 辛口・フルボディ |
ブルゴーニュ屈指の醸造家として知られる「ドミニク・ローラン」による自社所有の畑からのブドウを100%によるワイン「ドメーヌ・ローラン」のご紹介です。
今回ご紹介させていただくのは、ピノ・ノワール100%ではなく、ガメイを主体としたワインである「ブルゴーニュ パス・トゥ・グラン A.O.C.」。ジュヴレ・シャンベルタンにあるブルゴーニュ A.O.C.区画と、モレ・サン・ドニの村名ワインとなる区画からのブドウが使用されています。ガメイは樹齢60年の古樹からのものを使用しています。ビオロジックの手法に則って栽培され、非常に熟した状態で収穫。より凝縮感を出すためにピノ・ノワールは果汁だけを加えるセニエ法を実施。豊かな果実味を持つ、力強い味わいをお楽しみいただける逸品です。
グラスに注がれた「パス・トゥ・グラン A.O.C.」は、メインで使用されているガメイの色を全面に出した印象の深みのあるルビーの色調を呈します。わずかに黒っぽさを溶け込ませた液体は若々しさを保っていることを伝え、緩やかにグラスの中で揺れ動き、そのエキス分の豊かさを示唆します。液面を覆う艷やかな光沢とその奥から滲む柔らかな輝きには純良なアルコール分と豊富な酸の存在がほのめかされます。
注ぎたてのグラスから立ち昇るのは、イチゴキャンディのようなチャーミングな甘酸っぱい香りやスミレの花を想わせる優しいフローラルな香りが感じられます。グラスを回すとオレンジの皮のようなビターなニュアンスや森の下草、バラの花のような植物感、さらには、スペアミントや苦みのあるスパイスを想わせる樽熟成によって纏ったと思われる香りを漂わせ、複雑なフレーバーを伴った味わいを想像させます。ガメイのスパイシーさがピノ・ノワールのグリーンなイメージと調和。さらに、樽での熟成がより複雑さを与えながらも纏め上げ、深みのある香り立ちを生み出しています。
口当たりは滑らかで、張りのある酸味に包み込まれた果実味は凝縮感があり、ほのかな甘さとともに爽やかさを広げます。舌にその味わいを擦り込ませていくかのような力強さがあり、同時にミネラル分によって磨かれたかのような円みのある舌触りが表現されます。口の中に広がるのはラズベリーを想わせる小粒の赤果実フレーバーと、トーストのようなほのかな香ばしいニュアンス。渋味成分が微かな甘さを携え、味わいに厚みをもたらしつつ、ビターな香味を漂わせて清々しく楽しませてくれます。
飲み落とした後に広がるのは、小梅ちゃんを想わせるキュンッとチャーミングな甘酸っぱい風味と煌くような酸味のアフター。静かにボリュームを落とし、爽やかさが引き出された後口に、バニラを想わせる甘やかな余韻を優しくたなびかせます。
ブドウ品種「ガメイ」の上質さが存分に引き出された感のある、スパイシーな香味を主体とした厚みと力強さを携えた果実味が「ピノ・ノワール」の高貴さとの調和によってエレガンスまでもを身に着けた、ウィークポイントを見つけるのが困難すぎる「パス・トゥ・グラン A.O.C.」。胡椒などのスパイスを使って味付けをしつつ、お肉(赤身)を焼いて仕上げるメニューには特にマッチしそうな香味を持った逸品です。この機会にぜひ、ご体験ください。