Merlot Agiorgithiko Mandilaria 2017 Mylonas Winery
◆ミロナス・ワイナリー
ワイナリーの歴史は、東アッティカのケラテア地方で「アントニス・ミロナス」が1917年にブドウ栽培とワイン造りを主な職業とするところから始まります。当時はワインを仕込むためのステンレス製のタンクは広まってはおらず、ギリシャのワインらしくアンフォラでブドウ果汁を発酵させていたそうです。
その後、ワイナリーは「アントニス」の息子「ディミトリス・ミロナス」へ。「ディミトリス」は、ワイナリーの伝統を引き継いだ上で、新しいブドウ園を購入し、同時に小規模ながらも近代的なワイナリーを建設。ワイナリーでは「アントニス」、「タソス」、「スタマティス」の三人の息子が幼い頃よりブドウ畑で遊び、土や天気、風を観察しながら成長。ブドウ樹との触れ合いの中で、剪定などを学び、ブドウ畑にまつわるすべてが彼らの一部とも言えるまでになり、ごく自然に彼らがブドウ栽培とワイン醸造を職業とするまでに至りました。「スタマティス」は化学を、「アントニス」はワイン醸造学を、「タソス」は経済学を、それぞれワイナリーのさらなる繁栄のために学びました。
2000年に「ディミトリス」が亡くなると三兄弟による経営が始まります。祖父から父へと受け継がれるときと同じように、彼らも父から引き継ぐと同時に、ワイナリーをさらに一歩進め、進化させる責任をも引き継ぎました。その結果として彼らは新たに小規模でありながらも最新鋭のワイナリーを誕生させ、ワイナリーで生み出されるワインを商標化。2006年に初めて公式にリリースされた銘柄はアッティカのワインならではに「Savatiano Mylonas Winery」でした。
◆三代目「スタマティス・ミロナス」
現在のワイナリーの当主である「スタマティス・ミロナス」は、大学で化学を専攻しながらも卒業後に「WSET(ワイン&スピリット教育トラスト)」によるワインの最上位の資格「ディプロマ」を取得。「WSET」は、ワインやスピリッツの流通業者のレベルアップを目的とした教育機関のため、ワイン生産者がこの資格を取得するというのは珍しいとのこと。ですが、「スタマティス」は「科学的な根拠は当然のこと、自分自身のテイスティング能力でワインを見極めたい」との想いから難関である資格に挑戦したそうです。
◆アッティカのブドウ栽培の中心地「メソギア」
ゲラニア山脈やキサイロナス山、パルニサ山、ペンデリ山を擁する自然に接した大きな半島で、南側全体が海に囲まれ、ブドウの生育に有益な海風が吹き込みます。山に近い土地は暖かく乾燥した気候となり、それらすべての要素がブドウ畑の土壌の多様性と組み合わさることで「アッティカ」は、ギリシャで最も重要な土地のひとつとなっています。
このワインに100%使用されている「アシルティコ」が栽培されているエリア、東アッティカの中央部を指す「メソギア(=Μεσογαία=Mesogeia)」は、「地中海」を意味するギリシャ語です。その名の通り、海からの潮風の影響を受ける白ブドウ栽培の好適地としてアッティカの栽培面積の大部分をこの「メソギア」が占めています。
◆特徴的なラベルデザイン
ミロナス・ワイナリーのWEBサイトに「Small Bird has interesting to tell.Take some time to listen.(小鳥にはいつも伝えるべき興味深い話があります。じっくりと聞いてください。)」との記述とともに特徴的な鳥の絵が現れます。これは、「スタマティス」がブドウ畑で仕事をしている間、野鳥の群れがそれに付き合うように餌を探している様子から浮かんだアイデアで、ワイナリーのマークやほとんどのワインのラベルに鳥が描かれることとなりました。
そんなワイナリーのマークやラベルを手掛けるのは、ギリシャで活躍するイラストレーター兼グラフィックデザイナーである「ネアルコス・ダスカス(Nearchos Ntaskas)」。ミロナス・ワイナリーとそのワインのイメージに新鮮なトーンを与えるため2006年の商標登録とともにワイナリーのマークを作成。ミロナス・ワイナリーの生み出すワインのラベルに描かれている、目を引く特徴的な絵もすべて「ネアルコス」によるものです。
このページでご紹介している「メルロー・アギオルギティコ・マンディラリア・ワイン」のラベルに描かれているのも可愛らしいちいさな鳥。古代ローマで誕生したとも言われているベレー帽を被り、マフラーを巻いた小鳥は、「伝えるべき興味深い話」があるような表情を浮かべ、高樹齢と思しきブドウ樹で羽を休めています。まさに鳥をモチーフにラベルをデザインするというアイデアが引き出された光景が描かれています。
【ヴィンテージ】 | 2017 | 【容量】 | 750ml |
【原産国】 | ギリシャ | 【地方】 | アッティカ |
【地区】 | 東アッティカ | 【村】 | ケラテア |
【品質分類・原産地呼称】 | P.G.I. アッティキ | ||
【格付け】 | - | ||
【使用ブドウ品種】 | メルロー 40%、アギオルギティコ 40%、マンディラリア 20% | ||
【醸造・熟成】 | 醸造:フレンチオーク樽 8ヶ月 | ||
【アルコール度数】 | 13.5% | 【色】 | 赤 |
【種類】 | 赤ワイン | 【味わい】 | 辛口・ミディアムボディ |
グラスに注がれた「ミロナス・メルロー・アギオルギティコ・マンディラリア」は、深い色味の赤が強く現れたルビーの色調を呈します。色付きに濃さを感じられるものの澄んだ印象があり、液体を透かしてグラスの底を確認できるほど。照明が差し込んだ液体はその光を受け止め、明るい輝きを放ち、酸やミネラル分の豊富さ、純良なアルコール分の存在をありありと表現しています。香味の要素を豊かに溶け込ませたしっかりとした飲み口を期待させる外観です。
グラスから豊かに立ち昇るのは、ブラックベリーやプルーンを想わせる黒い色の果実感。バラの花のような上品なフローラル感に加え、樽熟成による挽きたてのコーヒー豆のようなほろ苦いニュアンスやクローヴを想わせる甘やかで清涼感のあるスパイス感も漂います。飲み口にもたらされる芳醇な果実感と調和して広がる、ビタースウィートであり、スパイシーな香味を期待させる香り立ちです。
滑らかな口当たりの液体に溶け込んだしっかりと詰まった果実味はほんのりと甘やかさを滲ませ、酸味と適切に調和してほどよい張りと瑞々しさを表現。きめの整った密度の高いエキス分によって展開されるまろやかな飲み口の中で若々しさをほのめかします。口の中に広がるのはすももを想わせる爽やかな果実フレーバーとビターチョコレートのような甘く香ばしい味わい。渋味成分は円く、滑るような舌触りがありながらも、口中を軋ませるような心地よい収斂感があり、熟成によって適度に洗練されていることと同時に、いまだ保ち続ける若々しさを感じさせてくれます。
飲み落とすと、香ばしくビターなフレーバーがそっと消え残り、清々しさを引き出してフィニッシュ。柔らかくとき解れ、綺麗に洗い流された後口にスペアミントのような柔らかな清涼感とスミレの花のような清楚な余韻を優しくたなびかせます。
しっかりと濃い色を付けたワインながら爽やかでスパイシーな飲み口を楽しませてくれる「ミロナス・メルロー・アギオルギティコ・マンディラリア」。「ミロナス・ワイナリー」ならではの適切なミネラルの働きが、濃いめの味付きに「ぱりっ」とした舌触りを展開。しっかりと広がる果実フレーバーをマイルド、且つ、フレッシュ、ライトな印象で楽しませてくれる辛口の赤ワインの逸品です。この機会にぜひ、ご体験ください。