Rosso di Salina 2019
■「Azienda Agricola Caravaglio Antonino」
1989年に創業した「カラヴァリオ・アントニーノ」は、シチリアの北岸30kmほど沖合のエオリア(エオリエ)諸島に属するリーパリ島とサリーナ島で栽培したブドウを使用し、ワイン醸造を行う家族経営のワイナリーです。
オーナーの「アントニーノ・カラヴァリオ(通称ニーノ)」は、農家であった父から引き継いだ2ヘクタールのブドウ畑を、現在では約14ヘクタールにまで広げ、そのすべての畑で有機農法を実践しています。
■火山群島「エオリア諸島」
エオリア諸島(伊:Isole Eolie)は、イタリアのシチリア島の北、ティレニア海南部にY字型に連なる火山性の諸島に浮かぶ7つの火山群島です。エオリア諸島全体の人口は13,000人。行政上はシチリア州に属します。エオリア7島の中でもいちばん大きなリーパリ島を主島に据え、第二の島として名を連ねるサリーナ島に、このページでご紹介させていただくワイナリー「カラヴァリオ・アントニーノ」の本拠地があります。
■ギリシャ時代の呼び名「ディディモス(双子島)」
エオリア諸島の中心に位置するのがサリーナ島です。エオリア諸島で唯一独立した3つの市(サンタ・マリア・サリーナ〔Santa Maria Salina〕、レーニ〔Leni〕、マルファ〔Malfa〕)(他の島はすべてリーパリ市))で構成されています。ワイナリーの本拠地はマルファにあり、エオリア諸島で造られるワインはサリーナ島でない島のものであってもすべて「サリーナ I.G.T.」の呼称を持ちます。人口は約1500人。
同じ位の大きさの山が2つ(962mのフォッサ・デッレ・フェルチ山〔Monte della Fossa delle Felci〕と860mのポリ山〔Monte dei Porri〕)並んだサリーナ島の姿から、ギリシャ時代には「双子島=δίδυμος=dìdymos(ディディモス)」と呼ばれていました。
■「コリント・ネロ」は「カラヴァリオ」だけ
ワイナリー「カラヴァリオ・アントニーノ」のブドウ畑は、30区画以上あり全部で14ヘクタール。サリーナ島に12ヘクタールと、リーパリ島に2ヘクタール。リーパリ島の2ヘクタールは、「カラヴァリオ・アントニーニ」が最も重要とする平均樹齢50年の自根の「コリント・ネロ」が植えられた単一畑「フォッサ・デル・モンテ」。世界で唯一の「コリント・ネロ」100%の赤ワイン「ネロ・デュ・ムンチ」が生み出されます。今回このページでご紹介させていただく「ロッソ・ディ・サリーナ」にはこの「コリント・ネロ」が50%使用され、その高いポテンシャルを発揮しています。
■ミネラル感豊かな火山ワイン
海底火山の噴火によってできた島ならではの火山性土壌に育まれたブドウは、ワインへとふんだんにミネラル分を供給。しなやかな中に鮮やかさが引き出された「ぱりっ」とした飲み口を楽しませてくれます。
【ヴィンテージ】 | 2019年 | 【容量】 | 750ml |
【原産国】 | イタリア | 【地方】 | シチリア州 |
【地区】 | サリーナ | 【市区町村】 | マルファ |
【品質分類・原産地呼称】 | サリーナ I.G.P. | ||
【格付け】 | - | ||
【使用ブドウ品種】 | ネレッロ・マスカレーゼ 50%、コリントネロ 50% | ||
【醸造・熟成】 | 熟成:50% ステンレスタンク 12ヶ月、50% オーク樽 12ヶ月 | ||
【アルコール度数】 | 13.5% | 【色】 | 赤 |
【種類】 | 赤ワイン | 【味わい】 | 辛口・ミディアムボディ |
グラスに注がれた「ロッソ・ディ・サリーナ」は、わずかに紫を溶け込ませた濃いめのルビーの色調を呈し、その若々しさをありありと伝えます。艷やかな光沢で覆われた液面が純良なアルコール分の存在がほのめかされ、その奥から浮かび上がる宝石のような輝きには酸やミネラル分の豊富さが示唆されます。また、グラスの中で軽やかに揺れ動く液体の様子は綺麗に溶け込んだ果実味の豊かさを期待させます。
グラスから立ち昇るのは、フレッシュな赤果実感。新鮮な苺やラズベリーのような小粒で甘酸っぱい赤い色の果実のような香りや、セージを想わせる爽やかでほろ苦いハーブ感も漂います。さらに、スミレの花のような柔らかく清楚なフローラル感に加え、燻製のようなスモーク感が香り全体を包み込むようにして「火山」感を際立たせます。飲み口にもたらされるミネラルによる硬質感のある口当たりとともに広がる鮮やかな果実感を伴ったスモーキーな香味が想像できる、複雑な香り立ちです。
艷やかな感触のある軽やかに滑るような広がりを見せる液体は、継ぎ目のようなものをまったく感じさせない流麗さがあり、同時に溶け込ませた果実味を凝縮させた塊のようなイメージの香味を溌溂とした酸味とともにイキイキと弾けさせます。口の中に広がるのは、西洋スモモのような酸っぱみのある瑞々しさが際立った果実フレーバーと火山性土壌に培われたブドウによる研ぎ澄まされたスパイシー。若さゆえの張りを携えた渋味成分は口中に収斂感のある心地よい刺激を与え、果実感にビター感をもたらしつつ、味わいに清々しさを引き出します。
飲み落とすと、酸味とビター感が柔かく、静かに解けていくように口溶け。清涼さが引き出されつつほんのりと甘やかさが漂う後口に、赤紫蘇を想わせる微かに土っぽく赤果実&ハーバルなジャパニーズ・ハーブ的余韻を繊細に、長くたなびかせます。
フレッシュ、且つ、艷やかな果実感とミネラル感の香ばしさが絶妙にマッチした飲み口の「ロッソ・ディ・サリーナ」。軽快な果実味が鮮やかに引き立てられ、生気に満ちた、弾けるような香味を楽しませてくれる「カラヴァリオ・アントニーノ」による赤ワインの逸品です。この機会にぜひ、ご体験ください。