【使用米:麹】山田錦 60%精米
【使用米:掛】五百万石 60%精米
【アルコール度数】15度
【使用酵母】協会601号酵母
【日本酒度】非公開
【酸度】非公開
【おすすめの召し上がり方】冷酒
【冷蔵の有無】冷暗所での保存
【開封後賞味期限】開封後はなるべく早めにお召し上がり下さい。
三重県で日本酒「酒屋八兵衛」を醸す元坂酒造による純米酒「八十八夜」のご紹介です。
「な~つ~もち~かづ~く…」八十八夜を過ぎれば、農作物に大きな被害を与えることもあるという「晩霜(ばんそう)」の危惧もなることから、種まきや茶摘みなどの農作業を始める際の大事な目安となっていたという「八十八夜」。
立春から数えて八十八日目(八十七日後)のその日を「八十八夜」と呼びます。2020年は5月1日がその日に当たります。「米」という文字を分解すると「八」と「十」、そしてもうひとつ「八」が組み合わさっていることから「米」、ひいては農業に携わる方々に於いて「八十八夜」は、大変重要な日とされてきました。
そんな「八十八夜」になぞらえた、初夏に向けて軽快にお楽しみいただけるよう加水が施され、火入れすることなく瓶詰めされた生酒。60%精米の山田錦を麹米に、五百万石を掛け米に使用し、協会601号酵母によって醸された逸品です。
グラスに注がれた「八十八夜 純米生酒」は、グレーがかったイエローシルバーの色調を呈します。艷やかな光沢で覆われた液面が純良なアルコール分と豊かなエキス分の存在を伝え、その奥から湧き上がる輝きは酸が豊富に溶け込んでいることを示唆します。また、加水ならではに軽やかに揺れ動く液体はさらりとした口当たりを想像させます。
グラスから立ち昇る香りは若々しいグリーンな植物的なイメージと、蜜のような甘いニュアンス。バニラのような甘い香りは青草的グリーン・ノートと溶け合ってジャスミンのようなフローラル感を漂わせ、さらに青林檎のような爽やかな果実感を豊かに広げます。微かにシナモンのような甘いスパイス感が、軽やかなアクセントとして心地よい香りの奥でほのめかされます。爽やかで軽快な中にも芳醇さを伴った飲み口を期待させる、豊かな香り立ちです。
酸によって溌剌とした口当たりのある、加水とは思えないほどの力強さも感じられる口当たり。ほのかな甘さを滲ませる豊かな旨みは柔らかく、同時にくっきりとした輪郭を描くように鮮やかに、その香味を際立たせます。口の中に広がるのはライムのような苦みを伴った艷やかな柑橘果実フレーバーと和梨を想わせる艷やかな果実感。新鮮な果汁を想わせる味わいを清々しく楽しませてくれます。
飲み落とすと酸が強く煌き、口中をヒリヒリとさせるほどに引き締め、爽やかさを引き出します。すっきりと洗い流されたような後口に、ラムネ菓子を想わせる清涼感のある余韻を繊細にたなびかせます。
日本酒「酒屋八兵衛」で想像するスマートさやスタイリッシュさに旨みをそっと上乗せしたような、わずかな厚みや膨らみを感じられる「八十八夜」。香味豊かでありながらも、溶け込んだニュアンスのバランスによって流麗で涼やかな飲み口を表現する加水生酒です。この機会にぜひ、ご体験ください。