Book Road ~ 葡蔵人 ~ メルロー 1503-30
◆東京・下町 ”都市型 ワイナリー
「葡蔵人」と書いて「ブックロード」と読む、日本ワイン「Book Road ~葡蔵人~」。
葡萄の「葡」、酒蔵の「蔵」、ブドウ栽培農家の方々が育てた葡萄を、ワイナリーである「ブックロード」が間を取り持ち、ワインへと昇華させつつ、多くの「人」に伝えていきたい、繋がっていきたい、という想いで名付けられというワイン「Book Road ~葡蔵人~」。「Book Road ~葡蔵人~」ワインが家にあると思うと、続きが気になって仕方がない「本(Book)」が家にあるときみたいに、帰りの「道(Road)」をうきうきして家路に付くような、魅力的な香味を持ったワイン…という勝手な解釈を思いついてしまう、心地よい語感と心躍るような香味を携えたワイン「Book Road ~葡蔵人~」です。
「ブックロード・ワイナリー」は、2020年秋の時点で4造り目となるワイナリー。古くから職人が多く「ものづくり」の町としてよく知られた御徒町から蔵前地域【カチクラ】なる通称で呼ばれる台東区でのワイン造りです。すべてのワインに国産の葡萄を100%使用した、東京・下町 “都市型” ワイナリーによる「日本ワイン」です。
◆Book Road 初【天然酵母のワイン】
ワイン造りで「アルコール発酵」を担うワイン酵母は、大きくふたつの種類に分けられます。ひとつは「天然酵母(自然酵母)」。ブドウの果皮などにもともと付着している野生の酵母のことです。この天然酵母のはたらきによって、収穫したブドウを放置しておくだけでも自然にワインが造られます。ワインの発祥時から活躍してきた、ワイン造りの原点とも言える酵母です。もうひとつは「培養酵母」です。自然に存在する自然酵母とは違い、酵母メーカーなどが純粋培養した酵母で、ワイン造りの際にブドウやブドウ果汁が入ったタンクに加えられます。
「天然酵母」と「培養酵母」のどちらが優れたワインを生み出すかは一概には言えません。培養酵母は選びぬかれた菌株を添加するため発酵力が強く、安定して発酵を進めることができるため、得られるワインに一定の品質が保たれます。
それに対し天然酵母には、雑菌の混入や発酵力の不足などのリスクがありますが、ブドウの生育過程で果皮に棲み着いた酵母は産地の気候風土や個性を表現するものとして、自然な造りを行う生産者のワインに多く見られます。
今回このページでご紹介させていただく「Book Road メルロー 1503-30」は、天然酵母によって醸された、今期が初となるナチュラルな造りのワインです。
【ヴィンテージ】 | NV(1503-30) | 【容量】 | 750ml |
【原産国】 | 日本 | 【地方】 | 甲信越地方 |
【地区】 | 山梨県・長野県 | 【市区町村】 | - |
【品質分類・原産地呼称】 | 日本ワイン | ||
【格付け】 | - | ||
【使用ブドウ品種】 | メルロー 100% | ||
【醸造・熟成】 | ステンレスタンク | ||
【アルコール度数】 | 12% | 【色】 | 赤 |
【種類】 | 赤ワイン | 【味わい】 | 辛口・ミディアムボディ |
東京都台東区で日本ワイン「Book Road ~葡蔵人~」を醸す東京下町ワイナリー「Book Road(ブックロード)」による、山梨県と長野県で収穫されたブドウ「メルロー」を100%使用して仕込まれた赤ワインのご紹介です。
ラベルにワイングラスとともに描かれているのは「オリーブ」。ブラックとブラックの間にグリーンのオリーブが挟まれた状態で串が刺され、グラスの中に浸されています。これは、それぞれの色のオリーブのニュアンスがワインの中に溶け込んでいることとさらに、グリーンよりブラックのオリーブのニュアンスが優勢であることをほのめかしています。グラスの外にひとつだけ転がっているグリーン・オリーブは、このワインに合わせる食材としてもオリーブが好適であることを伝えています。
すべてのワインのラベルにお料理や食材の絵が描かれている「Book Road ~葡蔵人~」ワインですが、出来上がったワインをワイナリーの皆さんで飲みながら、合う食事を考え、提案しあいながら何を描くかを決めるんだそうです。
また、「メルロー」の記述の下に「1503-30」なる暗号めいた数字が記載されています。Book Road ワイナリーでは、よく見かける西暦でのヴィンテージの表記をせず、その代替的なものとしてこの数字を用いて、それぞれのワインがいつ仕込まれたのかを表しています。「1503-30」の先頭の二桁「15」は、Book Road ワイナリーを運営する「K’s Project」が創業から15年目を迎えたことを表現。さらに、それに続く「03」は、Book Road ワイナリーが3年目の造りであることを、ハイフンの後ろの「30」は、この「メルロー」ワインが仕込まれた順番が30番目であったことを示しています。
グラスに注がれた「Book Road ~葡蔵人~ メルロー」は、澄んだ液体にザクロの果実のような深い赤色を溶け込ませます。ガーネットを溶かして液体にしたかのような艶と光沢を携えた液体は健全さをありありと伝え、豊富な酸と純良なアルコール分の存在を示唆。赤ワインとしては淡い色付きながらも色味には落ち着きを見て取ることができ、天然酵母によるピュアさを飲み口に期待させてくれます。
グラスから立ち昇るのは、酸を感じさせる若々しく張りとマイルドな印象を併せ持ったニュアンス。りんご飴のような蜜っぽさと果実感が溶け合った香りや、あんずのような柔らかな果実感。また、ラベルからの予定調和的にオリーブのような円みのある植物的ニュアンスも漂います。さらに、生姜を想わせるぴりりとした印象の香りも感じられ、適度な締まりが与えられています。
口当たりは穏やかで、滑らかな舌触りの液体が密度の高いエキスを携えて緩やかに広がります。ほのかな甘さを錯覚するほどの濃縮感のある果実味にじんわりと滲むまろやかな酸味が調和。柔らかな苦みに縁取られ、鮮やかな香味が際立てられます。口の中に広がるのはスイカを想わせる瑞々しい果実フレーバーと、スペアミントを想わせる柔らかな清涼感。艷やかで軽快な渋味成分が清々しい飲み口を表現しつつ、味わいにドライな印象を纏わせつつ、フィニッシュへと向かいます。
飲み落とすと、味わいは静かに口溶けを展開し、苦みと渋味が台頭。ドライさがより一層引き出されます。爽やかに洗い流され、清々しさがもたらされた後口に、カンパリを想わせるビターな余韻が繊細にたなびきます。
ロゼワインと間違えるほどの淡い色付きながらも芳醇な香味を携え、甘さを錯覚するほどの豊かなエキス感を滲ませつつ、ドライな飲み口を楽しませてくれる東京生まれの赤ワイン「Book Road メルロー 1503-30」。やや個性的でもある天然酵母由来の香味は塩漬けのオリーブを齧りながら、または、もちろん、このワイン単体でも充分に美味しくお飲みいただけます。この機会にぜひ「Book Road ~葡蔵人~ メルロー」をご体験ください。